ダブルスの試合で勝つためには、単に打つ技術だけでなく「どんな陣形で戦うか」もすごく大事になってきます。
なかでも雁行陣は、もっともスタンダードで、多くの選手にとってなじみのある形だと思います。
でも、「とりあえず雁行陣」という感覚で使っていると、どうしても限界が出てきますよね。
この記事では、雁行陣のメリット・デメリットをしっかり整理してお伝えします。
プレーに迷いがある人や、もう一段階上を目指したい人にとって、ヒントになるはずです。
まずは基本から確認しておきましょう。
雁行陣とは、後衛が後ろに、前衛がネット近くに構えるダブルスの基本的な陣形です。
後衛がストロークでラリーを展開して、前衛がネットでプレッシャーをかけていく、という役割分担が特徴ですね。
いわば「分業型」のスタイルで、それぞれの持ち味を活かしやすいのがこの陣形の良さでもあります。
雁行陣は、前衛と後衛の役割がきっちり分かれているので、「自分は何をすればいいのか」がとてもわかりやすいです。
後衛はストロークを軸にして試合を組み立てる。
前衛はチャンスボールを仕留めたり、相手にプレッシャーをかけたりする。
ポジションごとにやるべきことが明確なので、練習も集中して取り組みやすいですし、試合中の迷いも少なくなります。
後衛がラリーをつなぐなかで、前衛が動きながら相手の隙を狙う。
そんなコンビネーションがしっかり噛み合うと、攻撃の幅が一気に広がります。
たとえば、後衛がクロスに打ち続けて相手を崩し、タイミングを見て前衛がポーチに出る。
このように、ストロークとネットプレーを織り交ぜていけるのは雁行陣の強みです。
自分たちでリズムを作っていけるので、試合を優位に進めやすくなります。
ストロークに自信がある選手にとって、雁行陣はまさにぴったりの陣形です。
しっかりと深いボールを打ち分けながら、相手の動きを揺さぶる。コースも打ち分けやすく、自分のペースでラリーを展開しやすくなります。
そして、相手が浮かせてきたら前衛が仕留める。
後衛が作って前衛が決める流れがしっかりできると、かなり安定感のあるプレーが可能になります。
雁行陣では前衛が常にネット付近にいるため、速いボールや低いボールにも反応しなければなりません。
ワンテンポの判断ミスが失点に直結することもあるので、反応の速さや状況判断の力が強く求められます。
ロブにも素早く対応しなければならないので、体力的にもプレッシャーがかかります。
雁行陣は構造がシンプルなぶん、相手にとっては動きを予測しやすいという一面もあります。
たとえば「後衛がつないで前衛が仕掛ける」形が繰り返されると、相手にタイミングを読まれてしまうことも。
特に上手な相手は、こうした傾向を見抜いて守備の位置を調整してくるので、工夫がないと攻め切れなくなってしまいます。
ワンパターンにならないよう意識することが大切ですね。
もう一つ気をつけたいのが、後方のスペースです。
前衛がネットに詰めているぶん、どうしても後ろが空きやすくなります。
相手が高いロブを多用してくると、後衛はコートの奥深くまで動かされ、無理な体勢で返球することになりがちです。
その結果、浅くなったボールを前衛に叩かれる、という展開になりかねません。
こうした場面に備えて、ポジショニングの調整やロブ対策を考えておく必要があります。
雁行陣をうまく機能させるには、それぞれのポジションのスキルをしっかり磨いておく必要があります。
後衛なら、深くて安定したストロークを打つ技術。
前衛なら、ネットプレーの瞬発力とポジショニング。
そして何より、ペアとしての連携です。
アイコンタクトや声かけといったコミュニケーションを大切にすることで、連携ミスを防ぎやすくなります。
結局、良いペアは「ふたりで1つの陣形」として完成しているんですよね。
雁行陣をベースにしていても、相手のタイプや試合展開によって、陣形を変えていく柔軟さも必要です。
たとえば、相手がストレート攻撃を多用してくるなら、前衛の動きが制限されてしまいますよね。
そんなときには、あえて並行陣を試してみるとか、ポジションを少し下げて構えるといった調整が有効です。
「絶対に雁行陣でなければならない」と思い込まず、状況に応じた戦術を考えられると、ワンランク上の試合運びができるようになります。
雁行陣は、ソフトテニスの基本にして王道の陣形です。
ですが、しっかり理解して使わないと真価を発揮できません。
メリットは大きいけれど、デメリットもちゃんとあります。
そのどちらも知ったうえで、工夫して補い合うことが、雁行陣を武器に変えるコツです。
役割分担だけに頼るのではなく、ふたりの連携、対応力、そして冷静な判断力があってこそ、雁行陣は本当に強くなっていきます。
じっくり取り組んで、自分たちのスタイルを磨いていきましょう。