ソフトテニスでは前衛と後衛の役割を分担する「雁行陣」だけでなく、2人がともに後ろでプレーする「ダブル後衛」のスタイルもよく見かけますよね。
特に男子の試合や、大学生・社会人のペアには比較的多く採用されています。
ただ、ダブル後衛といっても、ただ後ろに下がって打ち合えばいいという単純なものではありません。
プレーの役割分担やボールの種類、相手への対応など、実はとても繊細な連携が求められるんです。
この記事では、ダブル後衛を効果的に使うためのポイントを整理し、実戦でしっかりと役立てられる知識をお届けします。
ダブル後衛の大きな強みは、2人で後方をカバーすることで、守備範囲が格段に広がる点にあります。
ロブの処理やストロークの安定感も増し、相手の前衛が積極的に動くタイプでも落ち着いて対応しやすくなります。
さらに、どちらもストロークを主体にしているため、ラリーの主導権を握りやすいのも魅力です。
プレッシャーを感じにくく、自分たちのリズムで試合を展開しやすくなります。
ロブ、ドライブ、シュートなど多彩な球種を組み合わせれば、相手は予測しづらくなるはずです。
もちろん、ダブル後衛には弱点もあります。
前衛がいないぶん、ネットプレーが使えないのが一番の難点です。
特に、ネット際に短く落とされるボールには後ろからでは間に合わず、ポイントを落としやすくなります。
また、常に後方で構えることで、試合のテンポが単調になってしまうこともあります。
相手がそのペースに慣れてくると、有効な配球が通らず、逆に押し込まれてしまう危険もありますね。
決定力という意味では、どうしても前衛ありの陣形に劣る部分は否めません。
ダブル後衛でカギになるのは、相手のバランスをどう崩すかという点です。
たとえば、クロスラリーで相手を引きつけておいて、いきなりストレートへ展開する。
あるいは高いロブを使って相手を下げ、その隙を突いてペースを変える、などの工夫が有効です。
また、「攻め役」と「つなぎ役」をはっきりさせておくと、連携ミスを減らせます。
必要に応じて一時的にどちらかが前に出る動きを加えるのも、相手にとってはタイミングが狂いやすくなりますよ。
基本的な立ち位置としては、左右に分かれて自陣ベースラインより少し内側あたりに構えるのが一般的です。
相手のショットに応じて、片方が前に出たり、お互いに入れ替わるように動けると理想的です。
特に注意したいのは、2人の間にできる空間です。
そこを突かれると、対応しづらく一気にポイントを失う可能性があります。
常に距離感を調整しながら、隙のないポジショニングを意識したいところです。
相手が雁行陣で、前衛の動きがあまり活発でない場合には、こちらのストローク力を生かして主導権を握りやすくなります。
また、相手後衛のスタミナが不安定だったり、粘り強さに欠けるタイプなら、長いラリーで有利に展開できます。
さらに、風が強い日や、クレーコートなど足元が不安定な状況でも、後ろでしっかり守るスタイルのほうが安定しやすいです。
そういった条件下では、ダブル後衛の戦術が力を発揮します。
逆に、ドロップやアングルなど、短いボールを多用してくる相手には苦戦しがちです。
左右に大きく振られる展開が続くと、体力的にも追い込まれてしまいやすくなります。
さらに、ネットプレーを積極的に使ってくるペアと対戦すると、どうしても後手に回りがちです。
後方で構えるだけでは、相手の攻撃を受け止めきれず、じわじわとポイントを奪われる展開になりやすいので注意が必要です。
まず何よりも、「安定してミスを減らすこと」が前提です。
そのうえで、相手をどんどん動かす展開を意識しましょう。
少しずつポイントを積み重ねていくことが、ダブル後衛の基本戦術です。
ラリーでは球速や回転、コースに変化をつけて、相手のタイミングを外すことが効果的。
ときには緩いドロップボールなども混ぜてみると、相手はさらに的を絞りづらくなりますよ。
もっとも狙われやすいのは、2人の間のスペース、そしてネット前の空きエリアです。
立ち位置が固定されてしまうと、そこをピンポイントで攻められやすくなります。
だからこそ、試合中は絶えず声を掛け合い、前後左右のカバー範囲を調整し続ける必要があります。
相手の打球パターンを見ながら、先回りして動く意識がとても大切です。
ドロップやアングルショットに対応するには、1人がやや前よりの位置を取っておくという方法があります。
これだけでも、落とされたボールへの反応がかなり速くなります。
もうひとつの対策としては、ロブを高く深く打つことです。
相手を後ろに下げて、前へ攻めるチャンスを奪いましょう。
こちらの配球次第で、相手に前でのプレーをさせない状況を作ることが可能です。
お互いが後ろにいるため、どうしてもストローク戦中心の展開になります。
こういうときは、ただ我慢比べをするのではなく、意識的に変化をつけていくことが大事です。
例えば、あえて浅いボールを打って前に引き出す、逆に深いボールで後ろに押し戻す、左右に振るなどして相手のペースを崩しましょう。
主導権は「自分たちが握る」という意識を持ってプレーするのがポイントです。
ペアのどちらかが左利きの場合、クロス方向にフォアを生かした展開がしやすくなるなど、配球のバリエーションが広がります。
一方で、バック側のカバーがやや難しくなる場面も出てきます。
そのため、お互いの得意なショットや守備範囲を事前に確認し合い、立ち位置や役割を無理なく調整していくことが大切です。
柔軟に対応できれば、左利きの強みをうまく引き出せるはずです。